ジッダ案内(第5回): アニメをきっかけに日本語を独学! ― 高まる日本への関心 ―
令和5年3月16日
人気を博する日本アニメ
2021年の9月23日、サウジの建国記念日。この日、ジッダ市内のとあるコーヒーショップで興味深いイベントが開かれました。男女併せて20~30歳代のサウジ人の若者が40名ほど参加してここで行われたのは、なんと日本アニメのクイズ大会。司会者が、「この場面で主人公がいった台詞は次のうちどれ?」「この音楽はどのアニメのテーマソング?」といった問いを投げかけると、勝ち進んだ参加者は間髪なく回答。どんな難問でも見事に連続正解し続けた強者の参加者一人が見事に勝利を獲得しました。それに続いて開かれたのは、日本のアニメソングのカラオケ大会。サウジ人の若者が、どれも最近ヒットした日本のアニメソングを、歌詞を間違えることなく、もちろん日本語で上手に歌っていました。
高まる日本語学習ブーム
上記で御紹介したこのコーヒーショップのオーナーは、日本に留学経験のあるサウジ人ビジネスマンで、日本アニメの大ファン。このオーナーだけでなく、いま沢山のサウジ人がネット等を介して、日本の最新ヒットアニメを、もしかすれば私達日本人よりもずっと知っています。そして、こうした日本アニメとの出会いがきっかけとして、多くのサウジ人が独学で日本語を学ぼうとしているようです。

ジッダ市内のマンガ喫茶「Akiba Cafe」のオーナーと新村総領事
実は、サウジアラビア、そしてこのジッダでは、若者を中心に日本語学習が一大ブームになっています。
ジッダ市内では民間機関による日本語教室も開催されています。また、今年7月には、日本の国際交流基金が主催する日本語能力検定試験がここジッダでも開始され、ジッダのダール・アル・ヘクマ大学の試験会場では約100名もの受験生がサウジアラビアで初回となるこのテストに参加しました。

ジッダ市内のマンガ喫茶「Akiba Cafe」のオーナーと新村総領事
実は、サウジアラビア、そしてこのジッダでは、若者を中心に日本語学習が一大ブームになっています。
ジッダ市内では民間機関による日本語教室も開催されています。また、今年7月には、日本の国際交流基金が主催する日本語能力検定試験がここジッダでも開始され、ジッダのダール・アル・ヘクマ大学の試験会場では約100名もの受験生がサウジアラビアで初回となるこのテストに参加しました。
日本語が開く扉
日本語を勉強したことがきっかけで、日本の武道や文化に更に関心を持ち、その分野で活躍するサウジ人の方もジッダにはおられます。ジッダ在住のナダー・アル・マシャートさんもその一人。彼女は日本語を学んだことがきっかけで空手に関心をもち、サウジ人女性初の空手の国際審判員として活躍しています。なお、ジッダ市内には日本の武道を学ぶことができるスポーツ教室センターもあり、ここで多くのサウジ人が空手や柔道といった日本の武道の研鑽に励んでいます。

マシャートさんの総領事館訪問(当館公式インスタグラム投稿)
こうした日本語や日本文化への親しみの高まりも追い風となったのか、日本食も以前よりもずっとサウジでは人々にとって身近なものになりつつあるといえるでしょう。様々な日本食レストランが増え、ジッダ市内で現在少なくとも20件程度もあるとされています。SNSでもそうしたジッダ市内日本食レストランでの魅力豊かなメニューの投稿を見ることができます。特にサウジ人でも人気なのは、ジッダ市内でも10年以上の歴史のある日本食レストランで働いている佐藤たきさんのSNSアカウント。佐藤さんは、2019年に日本の農林水産省から日本食普及の親善大使に任命。SNSなども使って活発な日本食普及活動を進めています。「食文化を通じて、サウジアラビアと日本との間の絆を深めていかねかればなりません」という佐藤さんの熱い心意気が当地紙でも紹介されています(2021年10月17日付アラブニュース紙)。
SNSで日本食普及に励む佐藤さん(佐藤さんのInstagram投稿)

マシャートさんの総領事館訪問(当館公式インスタグラム投稿)
こうした日本語や日本文化への親しみの高まりも追い風となったのか、日本食も以前よりもずっとサウジでは人々にとって身近なものになりつつあるといえるでしょう。様々な日本食レストランが増え、ジッダ市内で現在少なくとも20件程度もあるとされています。SNSでもそうしたジッダ市内日本食レストランでの魅力豊かなメニューの投稿を見ることができます。特にサウジ人でも人気なのは、ジッダ市内でも10年以上の歴史のある日本食レストランで働いている佐藤たきさんのSNSアカウント。佐藤さんは、2019年に日本の農林水産省から日本食普及の親善大使に任命。SNSなども使って活発な日本食普及活動を進めています。「食文化を通じて、サウジアラビアと日本との間の絆を深めていかねかればなりません」という佐藤さんの熱い心意気が当地紙でも紹介されています(2021年10月17日付アラブニュース紙)。

SNSで日本食普及に励む佐藤さん(佐藤さんのInstagram投稿)
日本アニメ村
さて、アニメに話しを戻しますと、新型コロナのパンデミックに伴う感染規制も緩和されたことを受け、2019年以来となる当地大型娯楽イベント「ジッダ・シーズン」が2022年5月から7月にかけ、市内計9の会場で開催されました。花火大会、アートコンサート、サーカスショーなど数々のイベントが盛りだくさん。サウジ国内外、計68か国から約500万人の人々が訪れました。その中でも人々に関心を引いたのは、国際色豊かな複数のゾーンを組み合わせたシティー・ウォーク、そしてその中に設置された日本アニメ村です。
「沙地亜刺比亜」という漢字が大きく描かれた赤提灯がぶら下がり、東京の雷門を思わせる赤い門をくぐり抜けると、ここはまるで東京の下町かと思わせる日本ストリート。そこを進むと、鬼滅の刃、進撃の巨人、NARUTO、ガンダム、ハローキティーなど、日本でのお馴染みのキャラクターにふれ合えるパビリオンが周囲に多数設置された広場に行き着きます。そしてその広場の中心に設置されたステージでは、期間中ほぼ毎週、入れ替わり立ち替わり沢山の日本のアニメソング歌手などのヒットスターが夜熱演を繰り広げ、当地の日本アニメファン達の熱狂を博しました。公演した日本のヒップホップグループのメンバーの「サウジを訪れ、親切な人々に出会えたことは幸せ」というコメントが、当地紙でも取り上げられました。 
岩井駐サウジ大使のアニメ村訪問

アニメ村を訪問する新村総領事
「沙地亜刺比亜」という漢字が大きく描かれた赤提灯がぶら下がり、東京の雷門を思わせる赤い門をくぐり抜けると、ここはまるで東京の下町かと思わせる日本ストリート。そこを進むと、鬼滅の刃、進撃の巨人、NARUTO、ガンダム、ハローキティーなど、日本でのお馴染みのキャラクターにふれ合えるパビリオンが周囲に多数設置された広場に行き着きます。そしてその広場の中心に設置されたステージでは、期間中ほぼ毎週、入れ替わり立ち替わり沢山の日本のアニメソング歌手などのヒットスターが夜熱演を繰り広げ、当地の日本アニメファン達の熱狂を博しました。公演した日本のヒップホップグループのメンバーの「サウジを訪れ、親切な人々に出会えたことは幸せ」というコメントが、当地紙でも取り上げられました。

岩井駐サウジ大使のアニメ村訪問
来場者延べ5千人以上、当地初かつ最大の日本文化フェスティバル「Hayy Matsuri」

このような日本文化への熱い関心を背景として、2023年3月1日から4日まで、ジッダ日本国総領事館は、当地複合文化施設Hayy Jameelとの共催により、アニメ、日本食、伝統文化等、サウジ国民が気軽に日本文化に触れる機会として、日本文化フェスティバル「Hayy Matsuri」を開催しました。期間中5千人以上が来場。単独で日本をテーマとした文化事業としては、当地初かつ最大のものとなり、当地関係者の日本文化への関心を惹起する上で大きなインパクトを与えることができました。
今回は、アニメ、日本語、武道、日本食といった切り口から、思ったよりも近い日本とジッダとの関係について御紹介しました。紅海の花嫁と呼ばれるジッダは今、サウジアラビア政府全体の取組「ビジョン2030」を通じて、多面的な変容を遂げようとしています。こうした中、日本とサウジアラビアとの協力と友好的な絆を強めていく上で、今後とも更に多くのジッダ、そしてサウジアラビアの方々に、日本語や日本文化に対する関心をもっていただけることが望まれます。
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今回は、アニメ、日本語、武道、日本食といった切り口から、思ったよりも近い日本とジッダとの関係について御紹介しました。紅海の花嫁と呼ばれるジッダは今、サウジアラビア政府全体の取組「ビジョン2030」を通じて、多面的な変容を遂げようとしています。こうした中、日本とサウジアラビアとの協力と友好的な絆を強めていく上で、今後とも更に多くのジッダ、そしてサウジアラビアの方々に、日本語や日本文化に対する関心をもっていただけることが望まれます。
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